
売却中、相続協議中、共有名義といった立場で、「空き家の固定資産税は誰が払うのか」と疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。
空き家の固定資産税は1月1日時点の所有者が納税義務者ですが、立場によっては払い方に注意が必要です。
今回は年間4,000件以上の不動産相談を承っている熊本県の不動産会社『すがコーポレーション』が、空き家に関わる方の立場ごとに「固定資産税の支払い」をわかりやすく解説します。
固定資産税を払いたくない・払えない場合の対処法もわかるので、ぜひ最後までご確認ください。
空き家の固定資産税は誰が払うのか

はじめに、空き家に関わる立場ごとに「固定資産税は誰が払うのか」をご確認ください。
空き家の固定資産税は1月1日時点の所有者が納税義務者
固定資産税の納税義務者は、「毎年1月1日(賦課期日)時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている方」です。
例年5〜6月ごろに所有者のもとに納税通知書が届き、「年4回に分けて分割納付」または「一括納付」で納付します。
「売却中の空き家」の固定資産税は誰が払う
空き家を売却中であっても納税義務は変わらないため、固定資産税を納税する必要があります。
しかし、年の途中で空き家を売却したにもかかわらず、売主がその年の固定資産税を全額負担するのは実態として不公平ですので、売却時に「引き渡し日を基準にして、買主が自身の所有期間分の固定資産税(固定資産税精算金)を売主へ支払う」のが一般的です。
ただし、これはあくまで不動産取引における当事者間の合意で、法律上の納税義務そのものが移転するわけではありません。
万が一、買主から固定資産税精算金が支払われなくても、納税義務は1月1日時点の所有者に残ります。
こちらの記事で、空き家がなかなか売れない場合の管理方法・対処法をご確認いただけます。
〈関連ページ〉親の死後に家の処分ができない。今後どうなる|処分費用、売却以外の選択肢、処分までの管理方法を解説
「遺産分割協議中の空き家」の固定資産税は誰が払う

遺産分割協議がまとまっていない間、亡くなった方の空き家は法定相続人全員の共有財産として扱われます。
そのため固定資産税も、相続人全員が連帯して納税義務を負います。
実務上は、以下のような納税方法が一般的です。
- 市区町村に「相続人代表者」を届け出→蔵族人代表者宛に納税通知書が届く→代表者がいったん立て替えて納付→遺産分割の決着後に相続人間で精算
- 1月1日時点で遺産分割協議中→納期限までに遺産分割が決着→空き家を相続することになった相続人が納税義務を引き継ぐ
「相続人代表者」を届け出する場合については、市町村への届け出後に代表者が納付を怠ると市区町村が他の相続人に対して全額を請求するため、「代表者に任せている」という理由で納税義務がなくなることはないという点を、念頭に置いておきましょう。
なお、相続放棄を検討中の場合には、亡くなった方の遺産から空き家の固定資産税を支払った時点で、法定単純承認(相続するとみなされること)が成立し、相続放棄を選択できなくなります。
相続放棄の権利を手放すことにならないよう、早急に以下の対応をしておきましょう。
- 家庭裁判所に、すみやかに相続放棄の申述をして(相続放棄申述の期限は相続開始から3ヶ月)、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届いたら市区町村・ほかの法定相続人にコピーを渡す
- 市区町村に「相続放棄の予定」を連絡し、ご自身への督促や催告を止める
- 相続放棄する意思を、他の法定相続人に書面・口頭で伝える
- ほかの法定相続人が固定資産税を支払い、立替分を請求されても、相続放棄の意思を伝えて支払いに応じない
「共有名義の空き家」の固定資産税は誰が払う
共有名義の空き家は、持分の割合にかかわらず、共有者全員が固定資産税の全額について連帯納税義務を負います。
共有者のうち誰か一人が固定資産税を滞納した場合には、他の共有者全員に全額の請求が及ぶことになります。
実務上は、共有者の代表者1名に「〇〇外〇名」という形で納税通知書が送られ、代表者が窓口となって納付し、あとから共有者間で持分に応じて精算するのが一般的な流れです。
空き家の固定資産税を払いたくない・払えない場合の対処法

次に、空き家の固定資産税を払いたくない・払えない場合の対処法や、固定資産税を払わないとどうなるのかも解説します。
- 市役所に分割納付や減免を相談できる
- 固定資産税を払いたくないなら手放すのがベスト|手放す方法
- 無断で固定資産税を払わないとどうなるのか
市役所に分割納付や減免を相談できる
一時的に固定資産税の納税が難しい場合は、市区町村の窓口で「分割納付(原則一年以内)」「減免」の相談が可能です。
ただし分割納付や減免が認められるのは「特別な事情がある」場合のみで、固定資産税を納税できる経済状況の方が「空き家で使っていないから払いたくない」という理由で市区町村に相談しても、分割納付や減免が認められないケースがあります。
「特別な事情」とは災害や経済状況による事情などですので、まずは市区町村の窓口にご相談ください。
固定資産税を払いたくないなら手放すのがベスト|手放す方法
空き家を所有し続ける限り、毎年1月1日時点で固定資産税の納税義務が発生し続けるため、固定資産税の納税負担から解放されたい場合には、空き家を売却して所有権そのものを手放すのが最も確実な方法です。
空き家を売却する方法は大きく分けて「仲介」「買取」の2種類で、急いで売却する必要がある場合には、買取が向いています。
| 売却方法 | 特徴 |
|---|---|
| 仲介 | ・一般市場で売却 ・希望価格での売却にチャレンジできるため、手元により多くのお金を残せる可能性がある ・実際に売却できるかどうか、いつ売却できるかの見通しが立ちにくく、値引き交渉により希望額で売却できないケースもある |
| 買取 | ・不動産会社が空き家を直接買い取り ・市場で売却が難しい物件も最短数日〜2週間ほどで売却できる可能性があり、仲介手数料を支払う必要がない ・市場価格の6〜8割程度での売却が一般的で、買取対応をしている不動産会社は限られている |
すがコーポレーションは買取い対応している不動産会社で、最短24時間での買取も可能です。
「建物の中を確認しないままでの買取相談」「ペットを飼っていた空き家の買取」に対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
なお、空き家の所有権を手放す方法はほかにもあり、手放さずに活用することも可能です。
- 相続土地国庫帰属制度:相続した土地を国に引き取ってもらえる制度で、空き家を解体して更地にしたうえで、「審査手数料(土地1筆につき14,000円)」「10年分の土地管理費相当額」を納める必要があり、対象外の土地もあります。
- 賃貸物件などとして活用:一般市場での売却が難しい場合や、手放さずに収益化したい場合の選択肢です。
無断で固定資産税を払わないとどうなるのか
市区町村に相談をせずに固定資産税の滞納を続けると、延滞金が加算されて納税額が膨らむうえ、財産の差し押さえに発展するケースもあります。
【無断で固定資産税を払わない場合の流れ】
固定資産税の納期限が過ぎる
↓
納期限後20日以内に「督促状」が発送され、電話での督促を受ける場合もある
↓
督促状の発送から約40日後に「催告書」が届く
↓
給与や預貯金、不動産などの財産が差し押さえられるケースもある
【延滞金など】
| 延滞金などの項目 | 内容 |
|---|---|
| 延滞金 (納期限までに支払わなかった場合に加算される利息相当額) | ・1ヶ月間: 年2.4or2.8% ・1ヶ月以降: 年8.7or9.1% ※上限は「1ヶ月間:7.3%、1ヶ月以降:14.6%」 |
| 督促手数料 (「督促状」発送にかかる手数料) | 一般的に100円〜150円/通 |
| 滞納処分費 | 実費 (財産調査や差し押さえ(口座や不動産など)の強制執行にかかる実費) |
〈参考〉
・地方税法 第三百六十九条2
・国税庁ホームページ『延滞税の割合』
固定資産税を含む税金は滞納が長引くほど納税負担が重くなるため、「払えない」と感じた時点で市区町村の窓口へご相談ください。
固定資産税額は空き家の管理状況によって大きく変動する|「管理不全で6倍」に注意

空き家の固定資産税額は、「土地・建物の評価額」「土地の面積」、「特定空家管理不全空家の勧告を受けているかどうか」で大きく変わります。
| 区分 | 課税標準額の考え方 |
|---|---|
| 土地(住宅用地の特例あり/200㎡以下の部分) | 評価額 × 1/6 |
| 土地(住宅用地の特例あり/200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
| 土地(特定空家等・管理不全空家等で勧告を受けた場合) | 特例の対象外となり、上記の1/6、1/3が適用されない |
| 家屋 | 評価額(新築軽減など個別の特例がない場合) |
固定資産税額は、土地・家屋に対して【課税標準額 × 1.4%(標準税率)】をそれぞれ算出し、合算した金額です。
※同一市区町村内での土地の課税標準額の合計が30万円未満、家屋が20万円未満の場合は、固定資産税が課されないケースもあります
また、空き家を十分に管理しないと、倒壊の危険性や衛生上有害な状態とされる「特定空家」や「管理不全空家」に指定されて勧告を受ける可能性があります。
「特定空家」や「管理不全空家」に指定されて勧告を受けると上記の1/6や1/3の特例が適用されなくなり、土地にかかる固定資産税がこれまでと比較して最大6倍となります。(本来の税額に戻ります)
特定空家等になる一歩手前の段階から行政が関与できることが法令で定められているため、空き家や土地が深刻な状態になる前の段階でも、勧告を受け税額に影響する可能性があることを念頭に置いて、空き家を所有していく必要があります。
空き家の固定資産税が6倍になる流れを、こちの記事でご確認いただけます。
〈関連ページ〉空き家対策特別措置法改正を簡単解説|固定資産税6倍となる流れと回避法、維持or処分の判断チャート
空き家の固定資産税Q&A

最後に、空き家の所有者さまから、すがコーポレーションがよくいただく質問・回答をご紹介します。
Q. 法定相続人が全員相続放棄をした空き家は誰が固定資産税を払ってるの?
A. 相続放棄によって相続人がいなくなった空き家は、家庭裁判所が選任する「相続財産清算人」が、遺産の中から納税を行うことになります。
ただし清算人の選任には利害関係人からの申立てが必要なため、申立てが行われるまでは請求先が定まらない状態が続くこともあります。
Q. 空き家を解体して更地にしたら固定資産税は上がる?
A. 空き家を解体して更地にしたら、一般的には固定資産税が上がります。
固定資産税の特例は「居住用の住宅用地」が対象ですので、評価額が1/6〜1/3に軽減される特例を適用されなくなるためです。
まとめ
空き家の固定資産税を誰が払うのか、状況別に解説をしたうえで、固定資産税を払いたくない・払えない場合の対処法などもご紹介してきました。
空き家であっても、ご自身が1月1日時点の所有者である以上、納税義務から逃れることはできません。
共有名義や遺産分割協議中の場合は、共有者・法定相続人全員が連帯して責任を負うことになる点にも注意が必要です。
また、空き家を十分に管理しない場合は固定資産税の負担額が跳ね上がる可能性があるため、空き家の固定資産税や管理負担を感じる場合には、手放すことをご検討ください。
「空き家の税負担から解放されたい」とお考えの方は、すがコーポレーションへお気軽にご相談ください。
熊本県内での豊富な実績をもとに、売却や買取はもちろん、状況に応じた最適な選択肢をご提案いたします。



