
親の死後に家の処分をしようとしたものの売れず、手間のかからない「売却方法」「売却までの管理方法」をお探しの方がいらっしゃると思います。
不動産が売れない場合は時間が経つほどに不安が高まっていくものですが、実は親の死後どれくらいの期間が経っているかによって、今すぐ検討すべき選択肢と期限がある程度定まっています。
今回は年間4,500件以上の不動産相談を承っている熊本の不動産会社『すがコーポレーション』が、ご自身の状況に応じた次の一手を、わかりやすく解説します。
1日も早く家を処分して負担や不安を解消するために、ぜひ最後までご確認ください。
親の死後に家の処分ができない。今後どうなる

親の死後に家を処分する場合の選択肢は、亡くなってからの経過期間によって変わります。
ご自身の状況に応じて、現状で検討すべきことをご確認ください。
- 【親の死後3ヶ月以内・まだ売りに出していない】「相続放棄」「限定承認」を選択できる
- 【親の死後3年以内】売却して節税も可能(ただし条件あり)
- 【親の死後3年10ヶ月以内・相続税の納税済】売却して節税も可能
- 【親の死後3年10ヶ月超】維持・活用も含めて今後どうするか検討
【親の死後3ヶ月以内・まだ売りに出していない】「相続放棄」「限定承認」を選択できる
親の死後3ヶ月以内(親が亡くなったこと・自分が相続人になったことの両方を知った日から3ヶ月以内)の場合には、親の家を引き継ぐ以外に2つの選択肢があります。
- 借金などマイナスの財産・プラスの財産すべてを引き継がない「相続放棄」
- プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」
※3ヶ月を過ぎても、「借金の存在を知らなかった」「財産調査に時間がかかる」といった事情がある場合には、家庭裁判所へ「期間伸長の申立て」をして相続放棄や限定承認の申述をできるケースもあります。
なお、「相続放棄」「限定承認」の申述前に以下のような行為をすると「相続を承認した」とみなされ、相続放棄を選べなくります。
相続放棄をする場合でも次の管理者が決まるまでは家の管理(戸締り・庭木の手入れなど)を継続する必要があるため、管理の中で相続財産を使う・売るといった行為をしないよう注意が必要です。
- 実家を賃貸に出して収益を得る
- 親が遺した現金で固定資産税などの維持費を支払う など
また、限定承認は「相続人全員の同意」「官報公告」などの複雑な手続きが必要なため、実務上はあまり選ばれない選択肢です。
相続放棄・限定承認を選択する前に、不動産会社へ家の価値をご確認ください。
不動産の価値は「売り方次第」ですので、売却によって利益を得られる可能性があります。
〈関連ページ〉築50年の家の価値は売り方次第|売却相場、売却の注意点、売却するべきかを決めるポイントなど解説
【親の死後3年以内】売却して節税も可能(ただし条件あり)

相続開始から3年を経過する年の12月31日までに家を処分(売却)できる場合には、売却益に対して支払う税金「譲渡所得税」の計算時に特例を受けて税負担を軽減できます。
【親の死後3年以内に家を売る場合:譲渡所得税の計算時に受けられる特例「空き家特例」とは】
譲渡所得税を計算する際に、譲渡所得※から最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できる特例です。
※譲渡所得とは、売却額から取得費・譲渡費などの費用を差し引いた額のことです。
以下の条件に該当する場合に、空き家特例の適用を受けられます。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建て(マンションは対象外)
- 亡くなる直前まで親が一人で住んでいた
- 売却価格が1億円以下
- 相続から売却までの間に事業・賃貸・居住をしていない
- 「相続から売却までの間」または「売却から翌年2月15日までの間」に耐震改修または取り壊しを行う など
〈参考〉国税庁『No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例』
【親の死後3年10ヶ月以内・相続税の納税済】売却して節税も可能
親の死後3年以内に家を処分できなかった場合でも、相続税を納税済みの場合には、譲渡所得税の特例を受けて納税負担を軽減できるチャンスがあります。
【親の死後3年10ヶ月以内に家を売る場合:譲渡所得税の計算時に受けられる特例「取得費加算の特例」とは】
相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)から3年を経過する日までに家を売却すると、納税済みの相続税の一部を「取得費」に加算することで、譲渡所得税を軽減できます。
譲渡所得税の計算:「家の売却益-(通常の取得費+相続税の納税額)+譲渡日=譲渡所得税」「譲渡所得税×税率=譲渡所得税の税額」
ただし、「取得費加算の特例」と「空き家特例」は併用できないため、「家の売却時期」「相続税額」に応じて有利な特例を選択しましょう。
〈参考〉国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
【親の死後3年10ヶ月超】維持・活用も含めて今後どうするか検討
親の死後3年10ヶ月を過ぎると、ここまでご紹介してきた「相続放棄」「限定承認」「家を売却して譲渡所得税を軽減」という選択はできなくなります。
そのため、家の資産価値に応じて「売却or維持・活用」を判断する必要があります。
「立地が良い」など需要が見込める場合には、「価格の見直し」「リノベーションによる価値向上」などによって売却の方が有利になるケースがあります。
一方で家が「維持費の負担だけが積み上がっていく」という状態であれば、売却以外の処分方法も含めて方向性を決断することをおすすめします。
親から相続した家の処分費用|家の処分期間が長引く場合の費用も確認

次に、親から相続した家の処分費用もご紹介します。
維持費を確認することで、売却までの期間目標なども考えやすくなります。
売却前の費用
親から相続した家を売却する前の主な費用は、以下のとおりです。
| 費用項目 | 相場・目安 |
|---|---|
| 相続登記 (親から相続人への名義変更にかかる費用) | ・登録免許税:固定資産税評価額×0.4% ・司法書士報酬:5〜15万円 |
| 遺品整理・残置物撤去 | ・1K:3〜8万円 ・3LDK:17万〜50万円程度 |
| 解体費用 | 3〜8万円/坪 |
| 測量費用 (土地の境界線が不明瞭な場合に必要で売主負担となるケースが多い) | ・境界の杭が不明:10万〜30万円 ・過去に未測量:30万〜70万円 |
売却後の費用
親から相続した家を売却した後の主な費用は、以下のとおりです。
| 費用項目 | 相場・目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 (仲介で売却が成立した際の不動産会社へ支払う成功報酬) | 売却価格×3%+6万円(+消費税) |
| 印紙税 (売買契約書に貼付して納税とみなされる) | 契約金額に応じた定額(令和9年3月31日までの軽減税率) 例|3,000万円:1万円、5,000万円:1万円、1億円3万円 |
| 譲渡所得税 (家を売却した売却益(譲渡所得)に対する税金) | ・所有5年超:譲渡所得×20.315% ・所有期間5年以下:譲渡所得×39.63% (特例の適用で非課税になるケースもある) |
処分期間が長引く場合の追加費用
ご自身の状況によって費用が変動するため明確な額を提示するのは難しいのですが、売却期間が長引くほど費用が積み重なります。
- 固定資産税
- 維持管理のために家に通う交通費
家が遠方にあってご自身での維持管理が難しい場合には以下のようなサービスを活用することも可能ですが、費用が追加となります。(月5,000円〜10,000円程度が目安)
- 空き家巡回サービス
- シルバーセンター・便利屋などを利用した雑草処分 など
なお、空き家の管理が不十分な場合※には行政から改善指導などを受け、最終的に「固定資産税の軽減措置が適用されなくなる(固定資産税が最大6倍になる)」「修繕などの命令を受ける」など、さらに重い費用負担を背負うケースもあります。
※ご自身で維持管理をする場合には最低でも月1回程度は訪問して室内の換気・庭木の手入れ・建物の現状確認などが必要です。
親から相続した家が空き家の状態で売却or維持を迷っている場合には、期間を長引かせずに今後の方針を決定することをおすすめします。
空き家の固定資産税が6倍になる理由・流れなどを、こちらの記事で詳しくご確認いただけます。
〈関連ページ〉 空き家対策特別措置法改正で固定資産税6倍となる流れをわかりやすく解説|回避法、維持・処分の判断基準も
親から相続した家の処分5つの選択肢|売却以外の処分方法もある

親から相続した家をどうするかについては、売却以外の選択肢もあります。
- 不動産会社の買取サービスを活用
- 相続土地国庫帰属制度を利用する(国に引き取ってもらう)
- 個人や自治体へ寄付・贈与する
- 賃貸や土地活用
- 空き家バンクや民間の有償引き取りを活用する
不動産会社の買取サービスを活用
不動産会社の買取サービスは「売却」ではありますが、一般市場での売却ではないという違いがあります。
親から相続した家を不動産会社に直接買取してもらうため、主に以下のような特徴があります。
- 仲介手数料不要
- 短期間で売却可能(最短即日〜1ヶ月以内)
- 売却価格は一般市場の7〜8割程度が相場
- 一般市場では売却が難しい条件の不動産も売却可能なケースがある
買取サービスを強化している不動産会社・買取専門の業者もあるため、親から相続した家が一般市場では売却が難しい条件の場合には2〜3社に買取査定を依頼してみましょう。
熊本県で買取サービスの利用を検討中の方はすがコーポレーションへお問い合わせください。
建物内を確認せずに買取をご依頼いただくことも可能で、残置物を含めてそのままのお引き渡しもご相談いただけます。
空き家バンクを活用する
一般市場や買取での売却が難しい場合には、自治体が運営する「空き家バンク」への登録もご検討ください。
移住などの目的で地方の手頃な価格の不動産を探している方の多くは、空き家バンクを閲覧しています。
空き家バンクには状態の悪い物件も多く掲載されていて、ピンポイントの需要とマッチングする可能性があります。
相続土地国庫帰属制度を利用する(国に引き取ってもらう)
「相続土地国庫帰属制度」とは土地を国に引き取ってもらう制度で、2023年4月27日に始まりました。
この制度の利用で売却できず使い途もない土地を手放すことが可能ですが、以下の負担があることに注意が必要です。
- 家を解体して「更地渡し」する必要がある
- 申請時の審査手数料:土地1筆あたり1万4,000円
- 10年分の管理費用として原則20万円(市街地の宅地など一部の土地は面積に応じて増額)の負担金を納める
- 住宅ローンが残っている場合には、完済をして抵当権を抹消した状態で申し込みが必要 など
制度対象外の土地もあるため(崖地・境界トラブルのある土地・土壌が汚染されている土地など)、「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討する場合には「親から相続した土地が対象となるか」などを法務局へ事前相談することをおすすめします。
なお、買い手がつかない不動産を民間業者が有償(売主がお金を払う)で引き取りするサービスもありますが、業態が確立していない業界ですので、利用時にはご自身にとって不当な契約とならないかなどを、厳しく確認する必要があります。
自治体や個人への寄付・贈与を検討
親から相続した家の立地が公共目的での使用を見込める場合には、自治体に寄付できるケースがあります。
ただしすべての土地を寄付できるわけではないため、寄付を希望する場合には、自治体の「財産管理」を担当する課に相談しましょう。
最終的には、土地の使用目的に応じた課との協議が必要になります。
また、「親から相続した家を格安・無償でもいいから手放したい」と希望している場合には、隣地所有者への売却・贈与を交渉するという方法もあります。
賃貸や土地活用
親から相続した家や土地の活用アイデアがある場合には、手放さずに収益化するのも1つの選択肢です。
- 最低限のリフォームをして賃貸住宅にする
- 建物を解体して月極駐車場やコインパーキングにする など
賃貸や土地活用の方法は意外とバリエーションが豊富ですので、親から受け継いだ不動産を手放さずに次の世代へ引き継ぐ資産にしていくことも可能です。
ただし賃貸や土地活用をする場合も管理の手間がゼロになるわけではないため、活用方法の提案や活用後の運用について相談できるパートナー(不動産会社など)がいると安心です。
売却の仲介を依頼している不動産会社への信頼度が高い場合には、賃貸や土地活用への切り替えも相談してみることをおすすめします。
親の死後に家を処分Q&A

最後に、親の死後の家の処分について、すがコーポレーションがよくいただく質問・回答をご紹介します。
Q.家を解体したら売却しやすくなる?解体の補助金はある?
A.売却のために更地にする場合や、国庫帰属のために解体する場合は、自治体の補助金を使える可能性があります。
【例:熊本市】
- 老朽空き家除却促進事業補助金」:補助額40万円
- ブロック塀等撤去補助金:補助額20万円
※いずれも工事着手前の交付決定が必須で、「残置物を整理したうえでの解体が必要」などの詳細な申請条件があります。
〈参考〉
・熊本市「老朽空き家除却促進事業補助金」
・熊本市「公道等に面するブロック塀等の撤去に関する補助制度」
ただし、家を解体するかどうかは需要に応じて慎重な判断が必要で、解体しないほうが売却可能性が高まるケースもあります。
ほかにも家を売却する際にやってはいけないことを、こちらの記事でご確認いただけます。
〈関連ページ〉家の売却でやってはいけないこととは?失敗しないための売却の基礎知識
Q. 親が老人ホームに入居してから家を賃貸物件として活用している場合、譲渡所得の特例は使える?
A. 親の老人ホームに入居してから家を賃貸物件として活用している場合は、「マイホーム特例」を使える可能性があります。
【マイホーム特例の適用要件】
- 親が存命中で、親自身が自分の家を売却する場合に、親自身の譲渡所得税計算において適用を受けられる
- 親がご自身の意思で家を売却する場合にマイホーム特例の適用を受けられる
- 譲渡所得から3,000万円を差し引ける など
〈参考〉国税庁『No.3302 マイホームを売ったときの特例』
親の死後に家を売却する場合には「空き家特例」の適用対象になるかを確認する必要がありますが、一度でも賃貸物件として活用している場合には「空き家特例」は使えません。
Q. 「相続放棄」「国庫帰属」どちらが損をしない?

A. 「相続放棄」「国庫帰属」の選択は、「他に引き継ぎたい財産があるか」「解体費用を捻出できる」かで変わります。
「実家以外にまとまった財産がない」「親に借入金がある」といった場合は、手続き費用が数千円程度で済む相続放棄が低コストです。
一方、現預金など引き継ぎたいプラスの財産が他にある場合は、それらを相続したうえで不要な土地だけを費用を支払って国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」の方が損をしないケースがあります。
Q. 相続人全員が相続放棄をしたら家はどうなる?
A. 相続人全員が相続放棄をした場合、家はしばらくの間、誰の所有でもない状態のまま残ります。
実家に住んでいなかった相続人は相続放棄の時点で管理の負担から解放されますが、同居していた場合には、次の管理者(相続財産清算人)に引き渡すまで最低限の管理を続ける義務が残ります。
ご自身に管理義務がある状態を長引かせたくない場合は、家庭裁判所に「相続財産清算人の選任」を申し立てることで、管理や清算の手続きを進めてもらえます。
最終的には、清算人が家や家財を売却・清算し、残った財産が国庫に帰属します。
まとめ
親の死後に家が処分できずお困りの方へ、「親の死後3ヶ月以内なら相続放棄・限定承認」など、期間に応じた選択肢・売却費用・売却以外の選択肢などをご紹介してきました。
親の死後3年10ヶ月を過ぎている場合には譲渡所得税の優遇などを使えない可能性がありますし、所有期間が長引くほど維持管理の負担も積み重なります。
売却or活用の決断は早いほうが長期的な負担を抑えられるため、ぜひ不動産会社などの専門家に相談しながら家をどうするかを決定していただけると幸いです。
熊本県で「家を売却したいが売れない」「売却or活用を迷っている」とお悩みの方は、すがコーポレーションへご相談ください。
家の状況に応じて一般市場での売却・買取など、売主さまにとって最適な選択をサポートいたします。



