離婚によって生じる様々な問題の中でも、住宅ローンの滞納は大きな経済的リスクを伴います。
特に、離婚後の生活設計や経済状況の変化によって、住宅ローンの支払いが困難になるケースは少なくありません。
この状況下では、信用情報への影響や住宅の差し押さえといった、具体的な問題に直面する可能性があります。
今回は、離婚後の住宅ローン滞納によって起こりうる事態と、そのリスクを回避するための具体的な対策について解説します。
離婚後の住宅ローン滞納で信用情報への影響
離婚後、住宅ローンの支払いが滞ると、信用情報機関にその事実が記録されます。
これは、今後の経済活動に大きな影響を及ぼす深刻な事態です。
信用情報機関に事故情報が登録される
具体的には、信用情報機関であるJICC(日本信用情報機構)、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、KSC(株式会社全国銀行個人信用情報センター)などに、住宅ローンの滞納という事故情報が記録されます。
この情報は、一定期間保持され、新たな融資やクレジットカードの発行、さらには就職活動にも影響を与える可能性があります。
住宅ローン以外の融資も受けにくくなる
住宅ローン滞納の事故情報は、住宅ローン以外のあらゆる融資の審査に影響を与えます。
例えば、自動車ローンや教育ローン、事業資金の融資など、今後必要な資金を借りることが困難になる可能性があります。
融資を受けることができたとしても、金利が高くなる可能性も考慮しなければなりません。
クレジットカードの審査が厳しくなる
クレジットカードの発行に関しても、滞納の履歴は大きな障壁となります。
審査が厳しくなり、カード発行が拒否されたり、限度額が低く設定されたりする可能性が高いです。
クレジットカードは日常の決済に欠かせないツールであるため、その利用が制限されることは生活に大きな支障をきたすでしょう。
就職活動に影響が出る可能性がある
近年では、企業の採用活動において、信用情報の照会が行われるケースが増えています。
特に、金融機関や信用を重視する企業では、住宅ローン滞納の履歴は採用に不利に働く可能性があります。
これは、責任感や経済的な自立性といった点を評価する上で、重要な要素となるからです。

住宅ローン滞納で家は差し押さえられる?
住宅ローンの滞納が続くと、最終的には住宅の差し押さえという事態に発展する可能性があります。
これは深刻な法的、経済的リスクを伴うため、十分な注意が必要です。
一定期間滞納すると競売にかけられるリスクがある
金融機関は、一定期間以上ローンの支払いが滞ると、住宅を競売にかけ、滞納額を回収しようとします。
競売は、公的な手続きによって住宅が強制的に売却されることを意味し、所有権を失うだけでなく、経済的な損失も大きくなる可能性があります。
競売で売却されても残債が残る可能性がある
競売による売却価格が、残りの住宅ローン残債を下回る場合、差額を支払う義務が残ります。
競売による売却価格は、市場価格よりも低くなる傾向があるため、この可能性は十分に考慮しなければなりません。
経済的な負担は、競売後も続く可能性があるのです。
離婚協議で住宅ローンの負担を決めておくことが重要
離婚協議において、住宅ローンの負担を明確に決めておくことは、滞納リスクを回避する上で非常に重要です。
協議がスムーズに進まず、負担割合が曖昧なまま離婚に至ると、後々のトラブルに繋がる可能性があります。
弁護士などの専門家の協力を得ながら、明確な合意形成を目指しましょう。
任意売却という選択肢もある
競売に進む前に、任意売却という選択肢も検討できます。
任意売却とは、金融機関と交渉して住宅を売却し、残債を減額する方法です。
競売と比較して、売却価格が高くなる可能性があり、残債の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、手続きが複雑で、専門家のサポートが必要となる場合が多いです。

住宅ローン滞納リスクの回避策
離婚によって住宅ローンの支払いが困難になる状況を回避し、滞納リスクを減らすためには、事前の準備と適切な対応が不可欠です。
離婚前に住宅ローンの支払いを明確にしておく
離婚協議において、住宅ローンの負担割合や支払方法を明確に合意しておくことは、滞納を防止するための最初のステップです。
それぞれの経済状況を考慮し、現実的な支払い計画を立て、それを契約書などに明確に記載することが重要です。
滞納しそうな場合は早めに金融機関に相談する
滞納しそうだと感じたら、すぐに金融機関に相談することが重要です。
金融機関は、状況に応じて返済方法の変更や猶予期間の付与などの対応をしてくれる可能性があります。
早期の相談は、事態の悪化を防ぐ上で非常に有効です。
弁護士や専門家への相談も検討する
離婚を巡る問題や住宅ローンの滞納問題は、法律的な知識が必要となる複雑なケースが多いです。
弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、適切なアドバイスを受け、最適な解決策を見つけることができます。
住宅ローン減額制度の利用を検討する
住宅ローンの返済が困難になった場合、住宅金融支援機構などが提供する住宅ローン減額制度を利用できる可能性があります。
個々の状況に応じた制度の利用を検討することで、返済負担を軽減できる可能性があります。
まとめ
離婚後の住宅ローン滞納は、信用情報への悪影響、住宅の差し押さえ、経済的な損失など、深刻なリスクを伴います。
しかし、離婚前に住宅ローンの負担を明確化し、滞納しそうになったら早めに金融機関や専門家に相談することで、リスクを軽減することができます。
適切な対策を講じることで、将来的な経済的な困難を回避し、安定した生活を送るための基盤を築くことが可能です。
早めの対応が、より良い解決への近道となることを覚えておきましょう。
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