親の代わりに実家を売却する際に用いる委任状とは?

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親の代わりに実家を売却する際に用いる委任状とは?

認知症になった母が所有する不動産を売却してしまいたい、という場合果たして自分にその権限があるのかという不安がありますよね。
今回は、不動産売却の委任状やその注意点について、親の代わりに家を売却する際に利用する制度について解説します。

□委任状の準備や必要なものについて

□委任状の準備や必要なものについて

1.委任状の準備

代理人を立てて不動産売却する場合は、委任状を準備します。
委任状には、決まった形式がありません。
委任状は自分で自由に作成できますが、項目に記入漏れや不備があれば無権代理になる恐れもあります。

その場合は、売却における契約そのものに影響します。
不動産会社や弁護士事務所があらかじめ用意している書式を使いましょう。

2.委任状以外に必要な書類

委任状を作成する際は、以下のものも必要です。

・押印するための実印
・印鑑証明
・住民票
・代理人の身分証明書

3.不動産会社に信頼が得られないケース

委任状がある場合でも、不動産会社からの信頼が得られない場合があります。

・所有者と代理人が親子または夫婦の場合
・委託する所有者本人の認知機能が低下している場合

親子関係、夫婦関係では双方で実印の管理がしやすいですよね。
また、委託する所有者本人の認知能力が低下している場合もあります。
その際は、判断能力の有無が重要なポイントになるのです。
こうした場合は、不動産会社は本人と面会する必要があります。

4、委任状を確認する必要性

購入希望者との交渉や、売買契約を結ぶ際は、面と向かって交渉している相手が代理人であると理解してもらいます。
購入希望者に委任状の内容をしっかり把握してもらいましょう。
双方が代理人による交渉だということを理解し、納得しておけば、無権代理でのトラブルを避けられます。
購入希望者に誤解が生じてしまうのを防ぐことは、信頼関係を築くために重要です。

不動産売却は金額の大きな取引です。
一旦契約が成されたあとに、トラブルが生じれば、所有者、代理人、購入希望者など関わる人すべてに負担が生じるのです。
代理人であることで生まれるトラブルを避けるためにも、委任状の存在は大きいものでしょう。

□委任状の注意点とは?

1.委任者、受任者両方の住所を記載する

不動産売却の委任状では、委任する人を委任者。
委任を受けて代理人として不動産売却に実際に立ち会う人を受任者といいます。

不動産売却の委任状に決まったフォーマットはありません。
ただし、受任者や委任者の氏名だけではなく、住所まで記載するよう注意しましょう
この際の住所は、法務局で手に入る登記簿謄本に従って記載します。
登記簿謄本は、住所の間違いを防ぐだけでなく、売却物件が所有者本人の所有であることの証明にもなりますので、手に入れておきましょう。

2.代理人の判断を制限する

不動産売却の委任状は、委任事項を明らかに、限定的に記載しましょう。
代理人が契約の場で勝手に判断するのを防ぐためです。

3.禁止事項はあらかじめ記載しておく

代理人が行っても良いことのほかに、禁止事項があればそちらも記載しましょう。
細かな決定が多い交渉である不動産の売却では、すべての権限を明記できません。
そのため、記載されている内容以外の内容については、「その都度所有者本人と相談する」などと記載し、なるべく代理人の判断に委ねず交渉を進めるようにしましょう。

4.有効期限を必ず記載する

委任状を作成する際は、委任状の有効期限を記載しましょう。
代理人権限の有効性の照明が求められたり、無権代理などのトラブルに巻き込まれないようにしたり、有効期限が証明になる場合があるためです。

5.実印で印鑑証明書も添付する

不動産売却の委任状に押印するのは、実印にしましょう。
役所で登録されている実印は印鑑証明書を発行できます。

6.委任状は捨印を押してはいけない

不動産売却の委任状では、捨印を押さないようにしましょう。
捨印とは、文書の余白に印を押しておき、内容に誤りがあったり、変更があったりする際に、訂正印として使うものです。
不動産売却の委任状をはじめ高額の取引に用いる書類ではこの捨印を押してはいけません。
捨印を押してしまうと、代理人に変更の権限を与えてしまうことになるためです。

7.代理人に任せきりにしない

委任の際は、代理人は与えられた権限の範囲内において、その意思表示は委任者と同等の効力を持ちます。
代理人に任せきりにせず、報告してもらったり、いつでも連絡が取れるよう準備しておいたりしましょう。

□親の代わりに実家を売却する際はどうする?

1.任意後見人制度

将来、認知症などによって判断能力が落ちてしまう懸念がある場合は、あらかじめ任意後見人をえらんでおきましょう。
任意後見人制度を利用すれば、本人の生活や財産管理を委託できます。

ただし、認知症になった後では、制度は利用できません。
そのため、判断能力があるうちに決めておきましょう。

2.法定後見制度を利用する

法定後見人制度では、家庭裁判所により後見人が選ばれます。
本人が不利益を受けないよう、代理して契約行為を行ったり、代理権が与えられたりするのです。

法定後見制度は以下の3つにわかれます。

・後見
判断能力が非常に衰えている人を支援するための制度です。
不動産取引する場合は、法定代理人として後見人が行います。

・保佐
判断能力にかなり衰えがある人を支援するための制度です。
本人が不動産取引を行う場合、保佐人による同意がいります。

・補助
判断能力に少し衰えのある人を支援します。
本人が不動産取引する場合、補助人の同意を要するとの審判がなされている場合に限って、補助人の同意が必要です。

法定後見制度では、親に多額の貯金がある場合、後見人に選ばれるのは子でも難しくなります。
弁護士や司法書士が選ばれるのが現実です。

□まとめ

□まとめ

親が判断能力のない場合や代理で不動産取引を行う場合は、様々な注意点があります。
委任状が代理人に与える権限に留意しながら委任状を作成しましょう。
当社では熊本市周辺で不動産売却や資産処分のお手伝いをしております。
お困りの際はぜひご相談ください。

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