家や土地の売却は、人生における大きな出来事です。
特に、相続や離婚など、複雑な事情が絡むケースでは、売却後の手続きに戸惑う方も少なくありません。
その中でも、確定申告の必要性については、多くの不安や疑問を抱かれるポイントです。
今回は、家売却後の確定申告が必要なケースと不要なケースを、具体的な計算例を交えながら分かりやすくご紹介します。
専門用語は極力避け、40~60代の方にも理解しやすいように解説しますので、どうぞご安心ください。
家売却後の確定申告が必要?不要なケースを徹底解説
そもそも確定申告って必要?
家や土地を売却した際に、必ずしも確定申告が必要とは限りません。
確定申告の必要性は、売却によって得た利益、つまり「譲渡所得」の有無によって決まります。
譲渡所得とは、売却価格から取得費と譲渡費用を引いた金額です。
この金額がプラスであれば譲渡所得が発生し、確定申告が必要になります。
逆に、マイナスであれば譲渡損失となり、原則として確定申告は不要です。
ただし、後述する特例を利用する場合には、譲渡損失であっても確定申告が必要となる場合があります。
確定申告が不要なケースとは
確定申告が不要となるのは、主に以下の2つのケースです。
譲渡益が出ない場合:売却価格から取得費と譲渡費用を引いた金額がマイナス(譲渡損失)の場合です。
例えば、1,000万円で売却した物件の取得費が1,200万円、譲渡費用が100万円だった場合、譲渡所得は-300万円となり、確定申告は不要です。
譲渡所得税の特例を受けない場合:譲渡所得が発生した場合でも、特例を利用しない場合は確定申告が不要な場合があります。
ただし、特例を利用することで税負担を軽減できる可能性があるため、特例の内容をよく理解した上で判断することが重要です。
後述する特例についても解説します。
家 売却 確定申告 不要となる計算式と具体的な例
譲渡所得の計算式は次の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
売却価格:不動産の売却金額
取得費:不動産を取得した際に支払った費用(購入代金、仲介手数料、登記費用など)
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を目安に計算することもできます。
譲渡費用:不動産を売却する際に発生した費用(仲介手数料、広告宣伝費など)
具体的な例を見てみましょう。
例1:Aさんは1,500万円で家を売却しました。
取得費は1,000万円、譲渡費用は50万円でした。
譲渡所得 = 1,500万円 - (1,000万円 + 50万円) = 450万円
この場合、譲渡所得は450万円となり、確定申告が必要です。
例2:Bさんは800万円で家を売却しました。
取得費は1,000万円、譲渡費用は20万円でした。
譲渡所得 = 800万円 - (1,000万円 + 20万円) = -220万円
この場合、譲渡所得は-220万円となり、譲渡損失が発生するため、確定申告は不要です。
相続や離婚など特殊なケースでの確定申告
相続や離婚など、特殊なケースでは、確定申告の必要性が複雑になる可能性があります。
例えば、相続で取得した不動産を売却する場合、取得費の計算方法や特例控除の適用要件が異なります。
離婚協議において不動産の売却が合意された場合も、売却益の分配や税金負担について、専門家への相談が必要です。
これらのケースでは、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

確定申告が必要な場合の手続きと注意点
必要な書類を準備しよう
確定申告に必要な書類は、次の通りです。
・確定申告書
・売買契約書のコピー
・取得費を証明する書類(購入時の契約書、領収書など)
・譲渡費用を証明する書類(仲介手数料領収書など)
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
確定申告書の書き方
確定申告書の書き方は、税務署のホームページや税務署で配布されているパンフレットを参照するか、税理士に依頼するのが確実です。
複雑な計算や専門用語が多数含まれるため、誤った記載を避けるためにも専門家の力を借りることをおすすめします。
税務署への提出方法
確定申告書は、税務署に直接提出するか、e-Taxを利用して電子申請することができます。
税金納付と還付について
確定申告の結果、税金が納付される場合と、還付される場合があります。
納付期限までに税金を納付し、還付される場合は指定口座に振り込まれます。

確定申告を忘れた場合のリスクと対処法
税務調査の可能性
確定申告を忘れた場合、税務調査を受ける可能性があります。
税務調査では、不動産売却に関する取引内容や書類が詳細に調べられます。
ペナルティの種類と金額
確定申告を忘れた場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられます。
無申告加算税は、本来納付すべき税額の一定割合が加算され、延滞税は納付期限を過ぎた日数に応じて加算されます。
税務署からの連絡への対応
税務署から連絡があった場合は、速やかに対応し、必要書類を提出しましょう。
まとめ
家売却後の確定申告は、譲渡所得の有無によって必要性が決まります。
譲渡所得がプラスの場合は確定申告が必要で、マイナス(譲渡損失)の場合は原則不要です。
ただし、特例を利用する場合や、相続・離婚などの複雑なケースでは、専門家への相談が必要です。
確定申告を忘れると、税務調査やペナルティの対象となる可能性があるため、期限内に手続きを行うことが重要です。
不明な点があれば、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
確定申告は複雑な手続きですが、適切な知識と準備があれば、スムーズに完了させることができます。
必要に応じて税理士などの専門家のサポートを活用し、安心して売却後の手続きを進めていきましょう。
熊本市周辺で、不動産に関するお悩みがある方は、お気軽に当社にご相談ください。