誰も継がない実家、どうすればいいの。
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
高齢化が進む現代社会において、相続問題、特に誰も継がない実家の処理に頭を悩ませている方は増えています。
この問題は、経済的な負担だけでなく、法律的な手続きや精神的なストレスも伴います。
今回は、熊本市周辺で不動産の売却をお考えの方に向けて、誰も継がない実家の問題点と、相続放棄、売却、賃貸など、様々な解決策を具体的にご紹介します。
誰も継がない実家・抱える問題点とは?
高額な維持費の負担
誰も住んでいない実家であっても、固定資産税、管理費用、保険料など、様々な維持費が継続的に発生します。
固定資産税は、不動産の所在地、面積、建物の構造などによって異なりますが、一戸建ての場合、年間10万円~15万円程度が平均的な金額です。
10年間所有し続けるとなると、100万円~150万円もの費用がかかります。
さらに、定期的な管理費用も必要です。
草むしりや清掃、害虫駆除など、最低限の管理だけでも、月額5,000円~10,000円程度の費用がかかるケースもあります。
また、火災保険や地震保険への加入も必須です。
空き家は、居住者による管理がないため、火災や自然災害のリスクが高く、保険料も割高になる傾向があります。
これらの費用を合計すると、数年で数十万円、場合によっては数百万円規模の費用負担となる可能性があります。
特定空き家指定のリスク
誰も住んでいない実家を放置すると、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、倒壊の危険性、衛生上の問題、景観の悪化など、近隣住民に迷惑をかける状態にある空き家は、特定空き家に指定されます。
特定空き家に指定されると、まず自治体から改善勧告を受けます。
勧告に従わず、放置を続けると、固定資産税の増額、罰金、さらには強制解体といった厳しい措置が科される可能性があります。
強制解体の場合、解体費用は所有者が全額負担しなければならず、数百万もの費用がかかるケースも珍しくありません。
資産価値の減少と損害賠償の可能性
誰も継がない実家は、管理が行き届かないことで、建物や土地の劣化が進行し、資産価値が減少します。
雨漏りやシロアリ被害、外壁の損傷などは、放置すればするほど修復費用が高額になります。
また、老朽化した建物が倒壊するなどして、近隣住民に損害を与えた場合、多額の損害賠償請求をされる可能性もあります。
これは、民法上の所有者の責任に基づくもので、場合によっては数億円規模の賠償請求となるケースも想定しなければなりません。

実家・誰も継がない場合の賢い対処法
相続放棄の手続きと注意点
相続放棄とは、相続人としての権利・義務をすべて放棄することです。
相続放棄をすることで、実家の所有権だけでなく、プラスの財産(預貯金、有価証券など)とマイナスの財産(借金など)を一切相続する必要がなくなります。
ただし、相続放棄には期限があり、相続開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。
また、相続放棄は、すべての相続財産を放棄する必要があるため、現金などの相続したい財産がある場合は、相続放棄はできません。
さらに、相続放棄後も、相続開始時点ですでに実家を占有していた場合は、他の相続人が管理を開始するまでの間、責任を持って管理を続ける必要があります。
完全に管理責任から解放されたい場合は、相続財産清算人を家庭裁判所に選任してもらう必要がありますが、その費用は数十万円から数百万円程度かかる可能性があります。
売却による現金化と税金対策
誰も継がない実家を売却することで、現金化し、相続問題を解決できます。
売却には、仲介業者と買取業者の2つの方法があります。
仲介業者は、買い手を探して売買契約を仲介します。
市場価格で売却できる可能性が高い反面、買い手が見つかるまで時間がかかり、売却が困難なケースもあります。
一方、買取業者は、業者自身が買い手となるため、迅速に売却できます。
ただし、買取価格は市場価格よりも低くなる傾向があります。
売却にかかる税金には、登録免許税、印紙税、譲渡所得税などがあります。
「空き家に係る譲渡所得の特別控除」の特例を利用することで、税負担を軽減できる可能性があります。
この特例は、一定の条件を満たす場合に、最大3,000万円の控除が受けられます。
賃貸による収益化の可能性とリスク
実家を賃貸物件として活用することで、家賃収入を得ることが可能です。
ただし、賃貸経営には、管理費用、修繕費用、空室リスクなど、様々なリスクが伴います。
建物の老朽化が著しい場合は、リフォームや修繕に多額の費用がかかる可能性があります。
また、入居者募集に時間がかかったり、空室が続いたりするリスクも考慮する必要があります。
賃貸経営は、専門知識や経験が必要となるため、不動産管理会社に委託することも検討しましょう。
解体・土地売却のメリット・デメリット
建物の老朽化が著しい場合は、解体して更地にしてから売却するのも一つの方法です。
解体費用は、建物の規模や構造によって異なりますが、数百万円規模の費用がかかる場合があります。
更地にすることで、買い手にとって土地の使い勝手が良くなり、売却しやすくなる可能性があります。
しかし、土地の立地によっては、売却が困難な場合もあります。
相続土地国庫帰属制度の活用
2023年4月から開始された「相続土地国庫帰属制度」を利用することで、相続した土地を国庫に帰属させることができます。
この制度は、相続した土地の管理に困っている方にとって有効な手段です。
ただし、この制度を利用できるのは、一定の条件を満たす土地に限られます。

後悔しないための意思決定と専門家への相談
相続財産調査の重要性
相続放棄をするか、売却するか、賃貸にするかなど、最適な方法を選択するためには、相続財産の調査が不可欠です。
相続財産には、不動産以外にも、預貯金、有価証券、債権、債務などが含まれます。
相続財産調査は、専門家(弁護士、司法書士など)に依頼するのが一般的です。
専門家であれば、相続税の申告や遺産分割協議などもサポートしてくれます。
まとめ
誰も継がない実家の問題は、経済的な負担、法律的な手続き、精神的なストレスなど、様々な問題を伴います。
今回はご紹介した解決策を参考に、ご自身の状況に最適な方法を選択し、後悔のない意思決定をしてください。
相続放棄、売却、賃貸、解体など、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。
専門家への相談も有効な手段です。