アパートを売却しようと考えているあなたは、一体いつ売るのが得策なのでしょうか。築年数や稼働率、地価動向、さらには税金面など、様々な要素が絡み合い、最適なタイミングを見極めるのは容易ではありません。
売却時期を間違えると、せっかく築き上げてきた資産価値を損なってしまう可能性も。
一方で、適切なタイミングで売却できれば、次のステップへのスムーズな移行を実現できるでしょう。
この記事では、アパート売却の成功へ導く具体的なタイミングの見極め方、税金対策、法律面を解説することで、安心して売却を進められるようにサポートします。
□アパート売却のタイミングを見極める
アパート売却の成功には、タイミングが大きく影響します。
1: 築年数と価値の変動
アパートは築年数が経つにつれて価値が下がる傾向にあります。
1-1. 20年以内が売り時
一般的に、築20年以内の物件は比較的高い価格で売却しやすいと言われています。
これは、築年数が経つにつれて価値の下がるペースが、20年までは比較的早い一方で、その後は緩やかになるからです。
20年以上経過したアパートは、建物自体が傷むことや、設備等の劣化、外装デザインの古びるなどの問題が発生しやすく、買い手が見つかりにくいケースも少なくありません。
1-2. 減価償却の観点
築年数が22年を超えると、減価償却の観点からも売却を検討する人が増えます。
減価償却とは、建物が築年数により劣化していく分の金額を帳簿上の価格から減らしていく会計上の処理のことです。
減価償却費を計上できる期間は、アパートの多くが木造で、木造の法定耐用年数は22年と定められています。
減価償却できる期間を過ぎてしまうと課税額が増えて不利になるため、売却を検討する人が増えるのです。
2: 稼働率と売却価格
満室状態や高稼働が続いているアパートは、購入希望者から見ても魅力的な物件です。
2-1. 高稼働時の売却
高稼働しているタイミングで売却するのは惜しいと感じるかもしれませんが、価値のあるうちが売り時です。
タイミングを逃してしまうと、入居率が低下し、価値が下がってしまい失敗する可能性があります。
2-2. 空室率の対策
空室率が高い場合は、売却前に適切な対策を講じることで、売却価格を高めることができます。
例えば、リフォームやリノベーションを行い、物件の価値を高める方法があります。
3: 地価動向と将来性
アパート売却のタイミングを考える際には、周辺地域の地価動向や将来性を考慮することが重要です。
3-1. 地価上昇を見据える
地価が上昇傾向にある地域では、アパートの価値も上昇する可能性が高く、売却することで利益が期待できます。
3-2. 地価下落のリスク
一方で、地価が下落傾向にある地域では、アパートの価値も下落する可能性があり、売却時期を見誤ると損失を被る可能性もあります。
4: 税金対策
アパート売却には、譲渡所得税などの税金が発生します。
4-1. 所有期間による税率の違い
所有期間が5年未満の場合は、売却利益に対して30%の税率が課せられます。
しかし、所有期間が5年以上となった場合は、税率が15%に軽減されます。
5年のタイミングで売却を検討する場合は、税金面も考慮すると良いでしょう。
4-2. 特定資産税の注意点
アパートは特定資産税の対象となる可能性があります。
特定資産税は、一定の規模以上の土地や建物を所有している場合に課せられる税金です。
売却前に特定資産税の課税対象かどうかを確認しておくことが重要です。
□アパート売却におすすめの時期は?
アパート売却は、タイミングが重要です。
1: 新生活シーズン
年間を通してアパート売却におすすめの時期は、4月~5月です。
1-1. 入居率の高さ
新生活シーズンである4月~5月は、学生や社会人の入居者が多く、アパートの入居率が高くなる傾向があります。
入居率が高い物件は、購入希望者から見ても魅力的なため、売却しやすいと言えるでしょう。
1-2. 3月との比較
3月は入退去の時期でもあるため、4月~5月の方が安定した入居率が見込めるでしょう。
2: 築年数の節目
築年数がきりのよい時期に売却することも、有効な戦略です。
2-1. きりのよい数字での検索
多くの購入希望者は、インターネットで物件を探す際に、「5年以内」「10年以内」「15年以内」などのきりのよい数字で検索をしています。
そのため、築年数が9年10カ月などであれば、10年になる前に売り物件として掲載したほうが、買い手が見つかりやすくなります。
2-2. 完成日の確認
所有しているアパートの完成日は、建築確認申請済書や登記簿謄本などで確認することができます。
3: 所有期間の5年以上
アパートの所有期間が5年以上となったタイミングで売却すると、譲渡所得税を抑えることができます。
3-1. 税率の軽減
所有期間が5年未満の場合は、売却利益に対して30%の税率が課せられます。
しかし、5年以上の場合は15%で済ませることができます。
3-2. 税金計算の重要性
売却前に、税金計算を行い、売却による利益と税金負担を把握することが重要です。
□アパート売却の流れと費用・税金
アパート売却は、以下の5ステップで進みます。
1: 査定依頼
売却を検討する際には、まずは複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
1-1. 不動産一括査定サイトの活用
不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼することができます。
2: 媒介契約
査定結果を比較検討し、売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。
2-1. 媒介契約の種類
媒介契約には、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
2-2. 不動産会社との信頼関係
媒介契約を結ぶ際には、不動産会社との信頼関係を築くことが重要です。
3: 売却活動
媒介契約を結んだら、不動産会社が売却活動を行います。
3-1. 広告宣伝活動
不動産会社は、インターネットやチラシなどに物件情報を掲載し、積極的に買い手を探します。
3-2. 内覧対応
購入希望者からの内覧依頼があれば、不動産会社が対応します。
4: 売買契約
買い手が見つかり、売買条件が合致したら、売買契約を結びます。
4-1. 売買契約書の内容
売買契約書には、売買価格、決済日、引渡し日、物件の状態など、重要な事項が記載されます。
4-2. 手付金の支払い
売買契約を結ぶ際には、買い手から売手へ手付金が支払われます。
5: 決済・引渡し
売買契約が成立したら、決済・引渡しを行います。
5-1. 売買代金の支払い
決済日には、買い手から売手へ売買代金が支払われます。
5-2. 所有権の移転
決済・引渡し完了後、物件の所有権は買い手に移転します。
□まとめ
アパート売却のタイミングは、築年数、稼働率、地価動向、税金面など、様々な要素を総合的に判断することが重要です。
新生活シーズンである4月~5月は、入居率が高く、売却しやすい時期と言えます。
売却活動は、不動産会社に任せることが一般的ですが、売主も積極的に情報収集を行い、売却を進める必要があります。