長い期間にわたる売却活動を終えて一安心、では税金はどうなるのかとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
今回は、仕訳について基礎から解説していきます。
個人や法人、さらには不動産売却の目的によって扱いが変わってきます。
注意点を押さえながら、正しく仕訳しましょう。
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□不動産売却での仕訳の基礎知識
個人事業主や法人が不動産売却をした際の仕訳は、会計処理上の基礎知識を押さえておきましょう。
1.勘定科目
不動産売却で損失、利益が出た場合、個人事業主は「事業主貸」、法人は「固定資産売却損益勘定」を使用しましょう。
個人事業主で不動産を売却した場合は、事業所得ではなく譲与所得というとらえ方をするため、固定資産売却損益勘定を使用しない点をおさえておきましょう。
2.簿価
土地の売却で会計処理する際の基準は、「簿価」です。
「簿価」とは、その不動産を購入時の金額のことです。
例えば、ある土地を1000万円で購入、1500万円で売却するとします。
この時、その土地の「簿価」は1000万円、「時価」は1500万円になります。
ただし、建物の簿価は減価償却によって、徐々に減少していくことを覚えておきましょう。
そのため、購入時に1000万円の価値がある建物も耐用年数を過ぎてしまうと、帳簿上の価値はゼロになってしまうのです。
3.日付は2種類から
不動産売却における取引日は、「売却契約の締結日」か「不動産の引き渡し日」のいずれかを選択します。
ここで注意しておきたいのは、売却時期が事業年度をまたぐ際の日付選択です。
この場合、どちらの日付を取引日として選択するかで、税金発生のタイミングが異なるのです。
利用できる控除や特例を確かめてから、税金発生のタイミングを見極めて選択しましょう。
4.土地の売却は消費税が発生しない
建物の売却は消費税が発生します。
その一方で、土地の売却では消費税は非課税になるのです。
土地と建物を同時に売却する際は、注意しましょう。
□個人と法人で異なる仕訳
個人と法人では、仕訳の方法が少々異なります。
個人事業主の場合は、不動産売却時の仕訳は固定資産税の損益と扱われます。
固定資産の中でも不動産である土地や建物と、自動車は固定資産売却の損益として扱うのです。
利益について、通常の場合は「営業外収益」と記帳し、大きな金額の場合は「特別利益」として扱うのです。
逆に、損失が発生すると、「営業外損益」、「特別損失」として扱われるのです。
事業目的外の場合は、「譲与所得」として処理されます。
固定資産税や減価償却費などの経費、控除を差し引き課税所得に税率をかけて譲与所得を算出しましょう。
法人の不動産売却では、その売却額を商売で収益を得たものとして扱われます。
そのため、売り上げと減価の計算で会計処理が行われるのです。
そのため、「固定資産売却損益勘定」を用いるのです。
仕訳をする際は、個人の場合であれば、事業目的かそれ以外の目的かで仕訳の内容が異なるため注意しましょう。
□個人が不動産売却をする際の仕訳方法
ここでは、個人が事業目的で不動産を売却した場合について解説します。
ちなみにプライベートな目的では、譲与所得で処理するので仕訳は不要です。
1. 譲与所得
譲与所得とは、不動産の売却価格から、該当の不動産を取得した時の購入代金である取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。
譲与所得は、「譲渡所得=売却価格―取得費-譲渡費用」で計算できます。
2. 取得費と譲渡費用
取得費とは、土地や建物の購入代金や購入手数料などの合計額を指します。
譲渡費用とは、売却に必要だった直接的な経費を指します。
3. 仕訳方法
個人が不動産を売却する際の仕訳では、売却した固定資産の帳簿価額を貸方に記帳し、売却代金を借方に記帳して、その差額を「事業主借」または「事業主貸」と記帳する方法をとります。
この方法は、事業所得や不動産所得の中に固定資産の売却損益を含めないようにするための会計処理です。
「事業主貸」は、事業主に貸す意味で、事業用の金銭を事業主の個人的な出費に充てた場合などに「事業主貸」の勘定科目として記帳するものです。
一方、「事業主借」は、事業主に借りる意味で、事業主の個人的な金銭を事業用の費用に充当した場合などに「事業主借」で記帳するものです。
帳簿価額よりも高値で不動産を売却した場合の仕訳方法のポイントは、譲渡所得の対象となる差額の利益を、貸方科目にて「事業主借」として処理することです。
また、借方科目には「普通預金」など売却金の受け取り先を記載しましょう。
一方、貸方科目は減価償却費を差し引いた額の建物と土地の帳簿価額を記入するのです。
帳簿価額よりも低価格で売却した場合は、損失の金額を借方科目に「事業主貸」として処理します。
売却金、建物と土地の会計処理は、利益が発生した場合と同様になります。
□まとめ
仕訳は、個人や法人、さらには目的別でその扱いが変わります。
個人で事業目的での売却を行った場合は、利益を「特別利益」、損失を「営業外損益」、「特別損失」として、個人で事業以外の目的の場合は、「譲与所得」で計算します。
法人は「固定資産売却損益勘定」で計算しましょう。
さらに、簿価を出すときは、土地と不動産で異なります。
土地の簿価は変わりませんが、不動産の簿価は減価償却によって低下していくことを念頭に置いておきましょう。
いずれにせよ、知識なしでは会計処理はできません。
不動産売却における会計処理を行う際は、しっかり調べてから行うようにしましょう。
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