不動産を売却する際には、売却益に対して税金が発生することがあります。
特に、売却益が大きい場合は、税金対策が重要になってきます。
不動産売却後の確定申告は、いつまでにしなければいけないのでしょうか?また、どのような書類が必要なのでしょうか?さらに、納税額を軽減できる特例はあるのでしょうか?
この記事では、不動産売却後の確定申告について、具体的な手続きや注意点などを解説していきます。
□不動産売却後の確定申告はいつ?
不動産売却後に確定申告が必要になるのは、いつなのでしょうか?
売却益が発生した場合や、特例を利用する場合に確定申告が必要となります。
1: 譲渡所得の計算方法
不動産売却による利益を「譲渡所得」と呼びます。
譲渡所得が発生した場合には、確定申告が必要となります。
譲渡所得は、以下の計算式で算出します。
【土地売却の場合】
譲渡所得 = 譲渡金額 – (取得費 + 譲渡費用)
【建物付き不動産売却の場合】
譲渡所得 = 譲渡金額 – (取得費 – 減価償却費 + 譲渡費用)
・譲渡金額:不動産売却によって受け取った金額
・取得費:不動産を購入した際の金額
・減価償却費:建物などの資産が経年劣化していくにつれて価値が減っていくことを考慮して算出される費用
・譲渡費用:不動産売却にかかった費用(仲介手数料、広告費、登記費用など)
2: 確定申告が必要なケース
確定申告が必要なケースは、以下の2つです。
・譲渡所得が発生した場合
・譲渡所得に関する特例を利用する場合
売却益が発生し、譲渡所得がプラスになった場合は、確定申告が必要となります。
また、譲渡所得に関する特例を利用する場合も、確定申告が必要となります。
3: 確定申告の期間
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日~3月15日です。
不動産売却によって譲渡所得が発生した場合は、売却した年の翌年に確定申告をする必要があります。
たとえば、2023年4月15日に不動産を売却した場合は、2024年2月16日~3月15日までに確定申告を行う必要があります。
□確定申告に必要な書類は?
確定申告時には、いくつかの書類を提出する必要があります。
1: 共通して提出する書類
確定申告をする場合、共通して提出が必要な書類は以下のとおりです。
・確定申告書の第一表、第二表及び第三表(分離課税用)
・本人確認書類の写し(マイナンバーカードなど)
・譲渡所得の内訳書【土地・建物用】
・不動産を売却したときの売買契約書の写し
・譲渡費用に関連する領収書などの写し
・不動産を購入したときの売買契約書の写し及び購入手数料などの領収書の写し
2: 特例を利用する場合
特別控除や減額措置などの特例を利用する場合には、上記の書類に加え、さらに提出する書類が増えます。
不動産売却に関する提出書類については、国税庁のホームページに「資産税関係添付書類等一覧表」が公表されています。
国税庁のホームページにアクセスし、必要な書類を確認しながら書類の準備を進めるようにしましょう。
□納税額を軽減できる特例とは?
不動産売却の際には、いくつかの特例を利用することで、納税額を軽減することができます。
1: マイホームの3,000万円特別控除
自宅として利用していた居住用不動産を売却した場合、その際に発生した譲渡所得が最高3,000万円まで控除されます。
・適用条件
・居住用の不動産(自宅)を売却していること
・売った年の前年および前々年に本特例や損失に関わる特例の適用を受けていないこと
・売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
・売ったマイホームが、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
・災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・売主様と買主様が、親子や夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人など特別な関係でないこと
2: 所有期間が10年超えの場合の軽減税率
マイホームの3,000万円の特別控除を適用してもなお譲渡所得がプラスになる場合、マイホームの所有期間が売却した年の1月1日時点で10年を超えていた場合は、譲渡所得にかかる税率が軽減されます。
・適用条件
・売却した年の1月1日時点で、マイホームを10年以上所有していること
□まとめ
不動産売却後の確定申告は、売却益が発生した場合や、特例を利用する場合に必要となります。
確定申告に必要な書類は、売却した不動産の種類や特例によって異なります。
国税庁のホームページなどで必要な書類を確認し、期限内に提出するようにしましょう。
また、不動産売却の際には、マイホームの3,000万円特別控除や所有期間が10年超えの場合の軽減税率などの特例を利用することで、納税額を軽減できる可能性があります。
これらの特例を適用できるかどうかは、個々の状況によって異なりますので、事前に税理士などに相談することをおすすめします。